ものがたり

01. 移住と、白山との出会い

社会人としての最初の赴任地が金沢でした。実家のある神奈川県横浜市金沢区から石川県金沢市へ移り住みました。「金沢」つながりだからという理由で赴任地が決まったらしいです。

「1度くらいは田舎暮らしアリかも」という軽い気持ちもあり、むしろ喜んで赴任先に行ったのを覚えています。

石川県白山麓にした理由は、大学時代に留学先として行ったオーストラリアのパースという街で見た景色と、営業車で走っていた時に見た白山麓の景色が似ていたというのが一番の理由です。

当時は社会人になって3年目でもあったので、そもそもここで何がしたいの計画はあるはずもなく、「将来、季節の良いときに別荘感覚で来れたらいいな」くらいの気持ちで中古物件を購入しました。

購入したのが2009年で、正式移住が2014年でしたので、その5年間はそれまでと変わらない会社員生活を送りました。

会社員時代では、様々な業界の経営者にも会う機会が多い仕事だったこともあり、大いに刺激を受けました。中でも、ベンチャー企業を創業した兄弟2人から聞いた面白エピソードは、「自分自身も何か事業をしてみたい」という一番のきっかけとなりました。

移住後の4か月

正式な移住は2014年5月でした。会社員としての仕事を辞めてから「行こう!」と思い立ち、同時いた大阪市内から2人で引っ越しました。

何か仕事が決まっているわけでもなく、具体的にどんな暮らしをするも決めていなかったので、引っ越して初めて「現実を知る」ことになりました。ただ、「この自然環境を活かした何かができれば」という漠然とした思いはあったので、それに向けてできることから始めました。

そんなスタートから4か月は2人で敷地内の庭づくりに没頭しました。およそ100坪の雑草だらけの庭を鎌とスコップの手作業で掘り起こしては草木を植えていくという作業をほぼ毎日しました。

白山との出会い

自分たちで何かしようにも、縁も所縁もない場所で仕事もなかったので、ハローワークに行ったのが2014年9月のことです。そこでたまたま出会ったのが白山公園内にある公共の温泉宿でした。石川県の中でも最も山奥にあり「ザ・昭和」の公共宿の管理者を2人募集していたタイミングで私たちが応募しました。

白山という山の存在すら知らなかったので、その時が白山との最初の出会いです。

宿の運営もしながら、同時に白山登山道や国立公園の整備・管理の仕事にも携わりました。登山経験もなかったのですが、草刈機や食糧を担いで白山の標高600~2,500mの場所で仕事をしました。

登山道整備の時に撮った1枚

白山の神様=菊理媛(くくりひめ)は当然ながら山頂にいますので、この未知なる仕事を通じて、白山の神様が私の身にも寄り添ってくれるようになったのもこの頃からです。

あの日あの時にハローワークに行っていなかったら白山との出会いもなかったでしょう。また、白山登山道の仕事に携わらなかったら、白山の神様にも出会わなかったでしょう。

勇気を持って一歩踏み出したことが今の仕事につながっています。「風が吹けば桶屋が儲かる」的に進み始めた瞬間です。